つまり、塾生は1つの問題から複数の解法を学ぶのです。
塾長が直ぐに別解を思いつくのは、問題を解き慣れているせいもありますが、それ以上に「作り慣れているから」という理由が大きいと思います。
たとえば、中学1年生のEくんの1学期期末試験の数学のテスト問題。
同試験に『1386を素因数分解しなさい。』という問題が出題されたことを、塾長は一昨日の『QED日誌』に書きました。
かつて、塾長が中学受験生向けに『693を素因数分解しなさい。』という問題を作ったことがあります。
「1386」は「693」を2倍した数なので、おそらくこの問題を作った学校の数学の先生が、塾長と同じ手法で期末試験問題を作成した可能性はあります。
もちろん、この先生が単純に電卓で掛け算をしただけという、原始的な方法で問題を作った可能性もあります。
さて、後者の可能性には何の面白味もありませんので、ここでは前者について考えます。
この先生が「11の倍数の見つけ方を知っている子が、数は少ないけれどもいるかもしれない。」「9の倍数の見つけ方を知っている子は、11の倍数よりは多いかな。」「まずは地道に2で割る方法で解く生徒がほとんどだろうから、偶数にしておこう。」「ついでにかけ算九九で最も難易度の高い7の段(7の倍数)にもしたいなあ。」などと考えたとします。
11×9=99。
つまり11の倍数でかつ9の倍数にもなっている最小の数は99です。
(11と9の最小公倍数。)
2×7=14。
つまり2の倍数でかつ7の倍数にもなっている最小の数は99です。
(2と7の最小公倍数。)
14×99=1400-14=1386。
99は100よりも1少ない、すなわち100をかけてから1%引きにすればよいので、上記のような計算式になります。
塾長ならば、まず間違いなく以上のような手法で問題を作成します。
電卓も手計算もせず、ほとんど計算力を必要としない暗算のみ、頭の中だけで組み立てて「はい、1問できあがり。」です。
塾長は、このようにして問題作成者の視点から別解を考え、それを日々の授業に生かしているのです。
これに慣れた塾生は、やがてこう考えるようになります。
「この問題は、ここをこうして作られたのかな?」
そんな発想が問題を解く糸口になることは多いのです。
特に、整数論の世界においては。
最後に、『1386を素因数分解しなさい。』が大変優れた「良問」であることの説明をします。
これは同時に、Eくんの学校の数学の先生が優秀であることの説明にもなっています。
(1)2の倍数。(難易度低)
1の位の数だけを調べる。
(2)9の倍数。(難易度中)
各位の数の和を調べる。
(3)11の倍数。(難易度高)
各位の数を1の位から順に足したり引いたりを交互に繰り返しながら調べる。
この問題は、以上のような3つの難易度の調べ方がミックスされた「良問」だったのです。
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