【炭酸水素ナトリウム→(加熱分解)→炭酸ナトリウム+水+二酸化炭素】
1学期の冒頭に中学2年生は、上記の式を学校で習います。
学校教科書には、上記の反応の実験は掲載されているものの、反応式のメカニズムまでは掲載されていません。
そのせいで、頭の中が疑問符だらけになってしまう中2生が毎年続出してしまうのです。
覚えることに苦労したことのないごく一部の生徒ならば、上記の式を丸暗記してしまうことはさほど難しくないのかもしれません。
しかしながら、たとえ暗記が可能な生徒だとしても、塾長はその子に「とりあえず覚えてしまおう。」とは言いません。
それは、生徒が誤った認識を体に刻み込んでしまうことを避けたいとの思いからです。
誤った認識とは、「式を丸暗記してしまえばOK。」「(計算問題を除いて)理科とはそういうもの。」といった思い込みのことです。
「仕組みを理解すれば、化学反応式は書ける。」「丸暗記など愚の骨頂。」
塾長は、塾生にこのような考え方を持ってほしいと願っています。
というわけで、今回の理科の授業でAくんは、前述の反応式を次のように学習しました。
ナトリウムイオンNa+(Naの酸化数=+1)
水素イオンH+(Hの酸化数=+1)
炭酸イオンCO3 2-
Na H COO O
Na H CO3
Naが2個(酸化数=+1×2個=+2)とCO3(酸化数=-2)からNa2CO3ができる。
Hが2個(酸化数=+1×2個=+2)とO(酸化数=-2)からH2Oができる。
最後にCO2が1個余る。
よって、炭酸水素ナトリウムの加熱分解の化学反応式は、
2NaHCO3 → 2Na2CO3 + H20 + CO2
これを言葉の式に表せば、
【炭酸水素ナトリウム→(加熱分解)→炭酸ナトリウム+水+二酸化炭素】
(学校教科書に掲載されている式)
以上のことを理解するためには、原子の周期表、族、酸化数、陽イオンと陰イオン、イオン団、などなど多くのことを学ばなければなりません。
それでも、これらのことを時間をかけて体系的に学ぶ価値は十二分にあります。
急がば回れ。
今だけ、目の前の1学期中間試験だけ点数を取ればよいと考えるならば、学校教科書に書いてある式を何度も書いて丸暗記してしまったほうが、もしかしたら手っ取り早いのかもしれません。
しかし、それをやったところで何も得るものはありません。
1学期の理科の点数だけは「得るもの」があったとしても、なまじっか点数が取れたばっかりに、生徒が「テストは丸暗記で何とかなる。」と思い込んでしまえば、当該生徒のその先の勉強にはむしろマイナスに働きます。
今Aくんは、化学反応式を基礎から、すなわちその「仕組み」から、一から丁寧に学んでいます。
そこで学んだ知識は、この先の勉強、中3の理科でも高校の化学でも、ずっと役に立ちます。
そして何より、Aくんが今の勉強を通して学んだ「学び方」は、ここでAくんが得た知識以上の価値を持ちます。
なぜならば、Aくんがここで身に着けた「学び方」は、Aくんのこの先の勉強はもちろんのこと、Aくんが最終の学校を卒業して社会人になってからもずっと、一生の財産となるからです。
そして、最後にもうひとつ大事なことがあります。
それは、勉強に「楽しさ」は必要不可欠であるということです。
(1)ただひたすら丸暗記する。→勉強が楽しくない。ただ苦痛なだけ。→継続できるわけがない。→学力が伸びない。
(2)「仕組み」を理解する。→勉強が楽しい。→だから継続できる。→学力が伸びる。→「仕組み」が分かっているから、その先の学年でも勉強がよく分かる。→もっと勉強が楽しくなる。→さらに学力が伸びる。
ぜひとも(2)の軌道に乗れるよう、これからも一緒にがんばって行きましょう。
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